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遺言信託


信託制度とはなにか

  信託制度とは、次に述べる財産管理の仕組みをいいます。

  例えば、障がいを持った子供(Bさん)を持ったAさんが、自分の死後、Bさんの生活を信頼する友人Cさんに看てもらうために、Aさんが所有する財産を利用するための財産管理の仕組みです。

  信託法では、Aさん、Bさん、Cさんを次のように呼び、それぞれの役割を以下のように規程しています。

 
 Aさん 委託者

     自分の財産をBさんの利益のために他人(Cさん)に委託する人

 Bさん 受益者

     Aさんが委託した財産を自分の利益のために利用する人

 Cさん 受託者

     Aさんから委託された財産を、受益者(Bさん)の利益のために使う人


  財産の受託者であるCさんは、Aさんから信頼されて財産を預けられ、その財産をBさんの生活のために管理し、処分することを求められます。もしも、Cさんが不正を働いた場合には、そのことによって生じた損失をてん補する責任を負わされます。

  このように信託制度とは、委託者が受託者の利益となる目的をもって、他人である受託者に自分の財産の管理処分を委託することで、その目的を達しようとするために利用される財産管理の仕組みです。

信託制度の特徴

  信託制度の特徴としては、次のようなものがあります。


 1 委託者が委託した財産は受託者の名義となるが、受託者は信託契約によって
   定められた目的以外にその財産を利用することが出来ない。

 2 委託者が委託した財産は、委託者があらかじめ債権者を害する目的で信託を
   設定した場合には、阻害行為取消権の対象となる。

 3 受託者は信託契約に記載された受益者の利益のために、委託された財産を
   管理処分する責任を持つ

 4 受託者が不正を働いた場合には、そのことによって生じた損害をてん補する責
   任がある。

 5 受託者が不正を働かないように信託監督人を置くことが出来る。

 6 受益者は信託財産を監督する権利を有するが、受益者が障がいなどによっ
   て、その権利を十分に行使することが出来ない場合には、受益者代理人を置
   いて受益者の権利を守らせることが出来る。

  上記の例では、Aさんが自分のなき後、障がいを持つ子供(Bさん)のために信頼する友人(Cさん)に財産を託す、というものです。しかしながら、信託制度はこれ以外にも財産の利用目的に応じて様々な形態をとることが可能な制度です。

 財産管理を委託される受託者は、未成年者、被後見人、被保佐人以外であれば
  誰でもなることが出来ます。法人も可能です。ただし、自分の財産を他人の手に   ゆだねるわけですから、信頼出来る人でなければならないことは言うまでもありま
  せん。

 信託監督人とは、受益者を保護するために受託者を監督する人のことです。信
  託契約の履行が適切になされるために一切の裁判上、もしくは裁判外の権限を
  持つ人です。

 受益者代理人とは、受益者となる人が障がいによって自らの意思表示がうまく出
  来ない場合に、その人を代理し、受益者が持つ一切の裁判上、もしくは裁判外の
  権限を行使する人のことです。受託者に対する監督も受益者代理人が持つ権限
  です。

遺言信託について

 遺言信託とは、自分の死後の財産管理を信託制度を利用して行おうとするものです。

  冒頭で述べた例のように、障がいを持つ親族のいる人が、自分なきあとにその親族が安心して暮らしていくことが出来るようにこの制度の利用を検討する人が増えています。

  従来、遺言状によって自分の死後、相続人になんらかのことをしてもらおうとする場合には、その相続人に財産を相続させる代償として、そのことをしてもらおうとする手法がありました。負担付遺贈と呼ばれるものがそれです。しかし、この方法ですと、遺言の確実な履行が難しいという難点がありました。負担付遺贈によって財産を相続した相続人が、遺言状に記載された事項を履行しない場合があるからです。その場合には、他の相続人は相当の期間を定めて履行の催促をすることができ、その期間内に履行がない場合には、その負担付遺贈に係る遺言の取消を家庭裁判所に請求することが出来る、とされていますが、結局、裁判で争うこととなりますので時間も費用もかかってしまうからです。

  けれども、信託の手法を取り入れた遺言状を作ることによって、この問題を解決することが出来ます。すなわち、相続財産を信託することで、その財産を信託で定めた目的以外には利用出来なくし、相続人の意思を実現することが出来るのです。

  たとえば、遺言信託を利用して、次のようなことが出来ます。


 1 内縁関係にある妻に、自分がなきあとも、引き続き住んでいた家に住み続けて
   もらうことが出来ます。さらに、その妻がなくなった後に、本来の相続人にその
   家を遺すことが出来ます。

 2 浪費癖のある相続人に、毎月決められた額以上の金員を渡すことが出来ない
   ようにして、相続財産の急激な減少を抑えることが出来ます。

 3 自分なきあとも、障がいのある子供が安心して生活出来るように財産を守るこ
   とが出来ます。

 
  遺言信託における委託者、受益者、受託者は、次の通りです。


 委託者 被相続人

 受益者 被相続人なきあとに、その財産を利用して安心した生活をさせてあげた
       い人
 受託者 相続財産を管理して、受益者に安心した生活をさせる人

 受益者は相続人以外であってもかまいません。法人も受益者となることが出来ます。

■遺言信託と遺留分の関係

  遺言信託によって信託された相続財産は、遺留分減殺請求の対象となります。そのため、遺言信託を利用する場合には、遺留分に配慮する必要があります。


当事務所では、遺言信託を利用した遺言状作成をさせていただきます。



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